
UNBALANCE様のMCパッチ製作です。今回は版下の作成から依頼されました。まずはネットから画像を送って頂きました。これらを合体させセンターパッチの版下を作って行きます。
真ん中の家紋の上に甲冑の上半身を重ねる。
右の面を左の顔部分にはめ込む。しかし写真はすこし横を向いているのでこれを正面に向かせなくてはなりません。ここは後で手書きで想像しながら描くしかありません。
それでは版下と同時にデータ作成を始めたいと思います。

まずは家紋のトレースから。中に甲冑が収まるため家紋の中は作っていません。

腕を人が着ているようなシルエットにして欲しいとの希望でしたので腕のアウトラインを追加しました。

数時間後、ついに甲冑の上半身のデータが完成。

では合体させてみましょう。家紋の黒と兜の黒がかぶってしまいました。

家紋のトーンを下げてみました。これなら見やすくなりました。

斜めを向いているお面の写真を観ながら正面をイメージして下絵を描きました。これをデータ化して昨日までに作った兜の中に合成します...

下絵をトレース。アウトラインを作成します。

色付けしていきます。では甲冑に合わせてみましょう。

家紋の色はシルバー(刺繍では銀糸)にしました。白ベースにシルバーだとメリハリがないですね。

ベースを黒だとこんな感じです。

喉部の板物を前面に出してみました...

兜と面のみを家紋の中に入れたパターンも見てみたいと要望されましたので。家紋からはみ出さないで配置してみました。家紋の中央部の抜き部分は隠れません。

家紋の中央部の抜き部分が隠れるまで兜と面を拡大しました。

家紋ベースを黒に。こうなると家紋には見えなくなりますね。やはり2つ上の家紋内に納めたデザインか一番上の上半身の配置のどちらかがいいと思います。家紋の白/銀も実際の刺繍糸の銀糸だと大分雰囲気が変わると思います。

お客様よりモノトーンも見てみたいという要望がありましたので作ってみました。グレー系を使うので家紋のシルバーにグラデーションをいれてみました。帯のデザインも出来ましたので合わせてみましょう,,,,

ベスト上でパッチを配置してみました。

もうひとつのご要望が家紋をなくして兜を大きく、です。あっ、いいかもしれませんね。兜の縁取りが白ではっきりしすぎるので

明るめのグレーにしてみました。全体がモノトーンになったので渋くなりました。

最終デザイン

帯の刺繍データ完成後、本刺繍です。問題無し、一発OKです...




センターパッチの刺繍データもなんとか今日中に出来上がりました。
明日は試し縫いです。

刺繍本番、兜の角から刺繍します。実際にこの兜は熊の毛で覆われていて、その質感を出して欲しいと要望されましたので刺繍で出来る限りの再現に挑戦しました...

黒地に黒刺繍なのでお分かりずらいと思いますがヨロイの鹿角(熊の毛)です。

獣の毛並みを少しだけ再現しました。刺繍ミシンは命令信号を送らなければ働きません。逆に言うとどんなプログラムでもプログラマーの設定通りに動くということです。今日も人に言われましたが絵をスキャンしたらミシンが自動的に縫ってくれるのですか?いいえ、そんな簡単なものではありませんし、それに頼りたくありません。

家紋ベース色の銀糸がビッチリ密度で入りました。

このような複雑なデザインですと下になるオブジェクトから刺繍をして上にくるオブジェクトを一段一段重ねていきます。

耳を付けて最前面の頭部の部分。ここも熊毛で覆われていますので獣毛プログラムです。本刺繍の前に下地にも刺繍を施します。これを下打ちと言います(写真は下打ち中)。当然刺繍時間はかかりますが、ここもウチは重要に考えています。

一番上の顔まできました。そしてまた質感が問われる"ヒゲ"です。

まずは立派な髭を蓄えさせます。指で触ってもボリュームな感じです。

白髪髭の縫い付けです。

黒髭の中に白髪が入り込みさらにリアルな髭になりました。

白フチを加えて完成。
しかし多少ではありますが気に入らない箇所がありますので修正して明日から量産に入ります。